書評  産経新聞(平成15年6月15日)

◆ 西村眞悟 『闘いはまだ続いている』


 著者は論客として知られる衆議院議員(自由党)。平成11年秋、第二次小渕内閣の防衛政務次官に就任後、週刊誌のインタビューで「核武装について議会で議論すべき」と発言したため、朝日新聞をはじめとする《進歩的》メディアの集中砲火を浴び、辞任を余儀なくされた。「議論すべき」と発言して責任を問われるのなら、民主主義は成立しない。同じような手口で《進歩的》メディアは、何人の大臣、国会議員を血祭りにあげてきただろう。近年、その欺瞞に国民が気付き、急速に影響力を失ってきたのは慶賀の至りではある。
 本題に戻ろう。本書は国政報告として二年ごとに本を出してきた著者にとって、五冊目の著書となる。この二年間において、日本の危機はより鮮明になった。日本人拉致事件を解決しないまま日朝共同宣言に署名、国交正常化交渉に踏み切ろうとしたり、中国の目を気にして私人となった李登輝前台湾総統の来日を拒んだり、8月15日に靖国神社に参拝するという公約を首相が破ったり、東シナ海では不審船事件が発生したり…、とても主権国家とは思えない。その分、著者の筆鋒もより鋭くなる。
 著者によれば、無力化した国連、崩壊した世界秩序を前に、日本がなすべきことは明快である。有名無実化した「非核三原則」の破棄を宣言するのである。この宣言だけで、北の独裁者が、震えて核のボタンに手を触れることの出来ない状態を作り出すことができるという。そして米国に対しても、「北朝鮮との宥和政策を追求するのであれば、我が国は独自核武装に踏み切らざるを得ない」と強烈なメッセージを発するべきだと主張する。そこで初めて、我が国が主体的に自らの安全を確保する戦略が始まるという。
 「国防なくして福祉なし」「国防を論じてこそ国会議員である」と、訴え続けてきた著者らしい主張である。国民と国会議員が真剣に国防をめぐって議論すべき時は、とっくに到来しているのだ。