日本文化 第19号(平成17年・冬)

巻頭言 経済的思惟の過剰によって国滅ぶ

対談
言挙げせよ、日本美術
 ―――― 田中英道、井尻千男

⇒日本美術の世界的価値を言挙げすることによって、近代絶対史観の呪縛を解こう。

中江藤樹の天皇觀 ―――――――――――― 小堀桂一郎

⇒藤樹の「孝」は、天道・神明にまで遡らせ押し及ぼすといふ遡及的性格を有してゐる。

司馬史観と東京裁判史観 ――――― 福井雄三

⇒両者は深部で通底している。曇りなき歴史観に目覚めない限り日本再生はあり得ない。

「スミス史学」が描く武士と農民 ―――--―― 藤岡信勝

⇒スミスはなぜマルクス主義から離脱し、日本武士の「自己犠牲」に着目し得たか?

「日本」の誕生はいつか ――――― 高森明勅

⇒「日本」国号の提案者だったればこそ、栗田真人に唐への国号変更の通知任務が託されたのではないか。

《君が代》が語る精神世界を探る ――――――― 呉善花

⇒《君が代》は、あらゆるイデオロギーとは別の道筋で世界を語っている。

「和」の環境学 ―――――――――― 黄文雄

⇒「和」の精神を保つには「私」を抑え、常に「公」を優先させることが必要である。

ブッシュ再選の意義 ――― 藤井厳喜

⇒ユダヤ人は世界市民ではなく国民として義務を果たすべきだ、とブッシュとシャロンは迫っている。

WMD拡散への国際的取組みと日本の対応 ――――― 高野雅樹

⇒PSIは組織でなく行動。大量破壊兵器拡散に歯止めをかける一定の効果を上げている。

一国平和主義の成立  ――― 遠藤浩一

⇒吉田の課題は経済復興と独立。しかしそれは一国平和主義への途にほかならなかった。